目の特徴でキャラクターの個性を描き分ける!【デジ絵】
キャラクターの印象を大きく左右する「目」。ひとつの作品に複数のキャラクターがいる場合、目の描き分けはできていますか? 女性や男性らしい目の形、角度や大きさ、まつ毛の多さなど、目を構成する要素に変化をつけてキャラの性格や年齢にあった目を描き分けましょう。
目の構造
▼女性の目
女性の目は全体的に丸をイメージして描いていきます。
大きくふっくらとした目でまつ毛は多めに、上まつ毛は幅も太目に描きます。
黒目の部分が大きい分、ハイライトも多く入ります。
▼男性の目
男性の目は黒目の部分が小さめで横に長い切れ長の目が多くなります。
まつ毛も幅が細く、目のラインに沿うように生えています。
全体的に横に長くというイメージで描きます。
目の大きさと角度で印象を変える
目は大きければ大きいほど年齢が若く・幼く、反対に小さくなるほど大人びて見えます。
また、目尻の角度を変えるだけでも印象は変化していきます。
目尻が下がると穏やかなタレ目になり、目尻が上がってつり目になると凛として気が強そうな印象を与えます。
まつげの有無で印象を変える
▼まつげなし
自然で明るい印象を与えます。
子どもなど無邪気で純粋なキャラクターを描くときに向いています。
▼上まつげあり
目の大きい女の子や中性的な男の子を描くのに適したまつ毛の付け方です。
かわいらしい印象を与えます。
▼上まつげあり(多め)
ふさふさとした多めのまつ毛は、目がぱっちりと開かれているような印象を与えるため、同じ大きさの目でも大きく見えます。
▼下まつげあり
下まつげを描くことでキャラクターの目は幼く見えます。
また、たれ目のようにも見え、優し気な印象を与えます。
▼上下まつげあり
上下にまつ毛があると一気に女の子らしい印象を与えます。
軽く化粧を施しているようにも見えます。
▼上下まつげあり(多め)
まつ毛の量を多く描くことで、化粧をしているようなぱっちりとした目になります。
メイク風の目を描くときに向いているまつ毛の描き方です。
目の表情で印象を変える
「目は口ほどに物をいう」という言葉があるように、感情によって目にもさまざまな表情が生まれます。
表情のついた目を使うと、キャラの性格をより表現しやすくなります。
▼微笑みの目
にっこりと微笑んでいる目は穏やかで優しそうな印象を与えます。
大人びていて、落ち着いた性格のキャラクターが笑うときによく見られる目です。
▼ニュートラルな目
大きな表情がついていない、スタンダードな目です。
主人公タイプのキャラクターによく使われる目の描き方です。
▼怒った目
気が強くキツそうな雰囲気のキャラクターに似合う目の描き方です。
不機嫌そうな印象を与えたいときにも使えます。
目の形の種類
目の形は個人差が大きく、男女問わずさまざまな形があります。
似た系統の目でも、目の開かれ方や大きさ、まつ毛の量など細部の違いで印象が変わります。
<女性タイプ>
▼幼い目
こぼれ落ちそうなくらい丸く大きい瞳。幼さが出る目の形です。
上下にまつ毛をつけることでより女の子らしく見せることができます。
▼凛とした目
目尻を鋭くすることで凛とした印象を与えます。
真面目なキャラクターやクールな美人系のキャラクターに似合う目の形です。
▼まぶたが降りた目
瞳にかかるようにまぶたが降りている目の形は、眠そう、あるいは大人しそうな印象を与えます。
感情が読み取れないキャラや不思議ちゃんのようなキャラにも適している形です。
▼大人の目
大人の女性の目は目尻が鋭く、目全体を長細く描きます。
まつ毛を多くすることで、化粧をしている女性らしさを出します。
<男性タイプ>
▼幼い目
女性の幼い目を描くときと同じように、全体的に丸く大きな形をイメージすると幼さが出ます。
男女の差をつけたいときは、まつ毛の長さや幅で調節します。
▼凛とした目
クールなイケメンキャラクターや冷静な性格のキャラクターによく見られる目の形です。
まつ毛の幅が細く、目尻に向かって上がっているのが特徴です。
▼つぶらな瞳
丸くてくりっとした大きな目です。
男性の場合は少年の心を忘れていないオジサンキャラや温和な性格のキャラクターによく使われます。
▼切れ長の目
目尻が細く鋭い切れ長の目は、威厳のある、厳しそうな印象を与えます。
人生経験を積んできた中高年のおじさまによく似合う目の形です。
目の描き方例
<女性>
目は形や色、表情でキャラクターの印象を大きく変えます。
特に女性キャラは瞳が大きく、塗り方も多種多様なやり方があります。
ここでは女性キャラの美しい青い瞳を描く一例を紹介します。
①線画を描く
しっかりした上まつ毛と二重の線、瞳の線を描き、下まつ毛を加えます。
ブラシはアナログ感のあるかすれたものを使用して、まつ毛が光を反射する様子が自然に見えるようにしています。
②下塗り
瞳と白目の部分を下塗りします。
あとでハイライトや影を入れることを考え、瞳はやや暗めの薄い水色で塗っています。
③白目部分の影入れ
白目の部分に影を描き入れます。
上まぶたで影ができている部分を、薄い赤みがかったグレーで塗っていきます。
目尻に近い部分には、細い影を入れます。
④瞳を塗る
瞳のグラデーション部分を塗ります。
ベースにした水色よりも濃いブルーで、瞳孔を中心に曲線を描くように塗っていきます。
⑤瞳のグラデーションに濃淡をつける
④で塗った瞳孔の周りに、うっすらと④よりも濃いブルーをのせます。
明暗をはっきりさせることで、ブルーを深めて瞳の印象を強めています。
⑥瞳に影を塗る
瞳の上部に上まぶたの影を塗ります。
瞳のグラデーションよりもさらに濃いブルーで塗っていくことで、瞳の明るい色合いの部分が際立つようにしています。
⑦ハイライトを入れる1
瞳の下部にうっすらとハイライトを入れます。
ベースの水色よりも白い色を使い、ぼかしながら描き入れます。
⑧瞳の光彩
瞳孔の周りに光彩や光を加えます。
現実の眼球は球体になっているので、瞳孔を中心として放射線状に軽く光を加えると、瞳が輝いている印象が表現できます。
⑨ハイライトを入れる2
瞳にハイライトを入れます。
形や位置に正解はありませんが、ここではだ円形のハイライトを左右に分け、軽くぼかしながら大小で入れています。
⑩線画の色調整
瞳の線画の色を調整します。
キャラクターの肌を塗ったとき違和感が出ないように、線画に赤みを加えています。
また、キャラクター全体に当たる光を考慮して、線画の左右にうっすらと光を加えます。
<男性>
女性キャラクターに比べると横長に描かれることが多い男性の目。
瞳のサイズが小さく、その表現も絵柄によってさまざまです。
ここではその一例としてブラウンの知的な瞳の描き方を紹介します。
①線画を描く
目の線画を描きます。
成人男性の目は女性よりも小ぶりで、瞳も一回り小さく描いています。
②下塗り
瞳と白目の下塗りをします。
色は自由ですが、ここでは落ち着いた男性らしさを意識して渋めの茶色を選びました。
ベースは、暗すぎず明るすぎないマットな茶色で塗ります。
③白目の影入れ
白目にできる影の部分を塗ります。
上まぶたが影になっていますが、女性よりもまつ毛が薄いのでやや細めに影を入れます。
④瞳を塗る
瞳のグラデーション部分を塗ります。
ベースよりもやや濃い茶色で塗り、瞳孔を囲むようにしながら山なりに塗っていきます。
⑤瞳のグラデーションに濃淡をつける
④で塗った瞳のグラデーション部分の下部にうっすらと濃い茶色を塗ります。
ベースカラーが暗めの色だと、深みのある知的な雰囲気が出しやすくなります。
⑥瞳に影を塗る
瞳の上部にまぶたの影を塗ります。
グラデーションよりもさらに濃い色を使い、目の印象を強めます。
また、瞳のふちにもうっすらと濃い色を入れ、瞳の色味を引き締めます。
⑦瞳の光彩
瞳の下部に反射している光を入れ、虹彩を描き入れます。
瞳が輝くことで、生き生きとした印象を与えます。
ただし、男性は光を入れすぎるとかわいい印象になってしまうので注意しましょう。
⑧ハイライトを入れる1
瞳にハイライトを描き込みます。
男性キャラは瞳が小さめなので、やや控えめなサイズで入れましょう。
明度が高くなり、一気に若々しい印象になります。
⑨ハイライトを入れる2
瞳の上部、上まつ毛との境い目部分にうっすらと光を描き入れ、明るく立体的な瞳を演出します。
影の色を意識し、明るくしすぎないように注意します。
⑩線画の色調整
目の線画がキャラクターの肌になじむよう、線画の両端に赤みを加えます。
目を描き終えたらキャラクター全体を見て、光が当たっている部分に明るい光を描き入れて完成です。
※本記事は、『デジタルツールで描く!違いがわかるキャラクターの描き分け方』(マイナビ出版)からの特別版抜粋記事です。
創作物を作る上で欠かせないものにキャラクターがあります。
キャラクターの体格や衣装などの外見を作り上げることがキャラクターデザインですが、見た目のキャッチーさだけではなくキャラの個性が感じられることが重要になります。
しかし、漫画やイラストを描く時には、描き手の癖や好みが出てしまうため、どうしても同じ顔になってしまう悩みがあります。
本書は、キャラクターをデザインするうえでの基礎的なことから、見た人の印象にいかに残るようにするかの方法までを理論的に指南していく一冊です。